お菊さんにも定休日?姫路城内の播州皿屋敷お菊井戸の場所はココ!
姫路城の上山里(かみのやまさと)曲輪とに、お菊井戸と呼ばれる古い井戸があります。
実はこの井戸、播州皿屋敷で知られるお菊さんにゆかりの井戸ということで、怪談話が残されています。
お菊さんといえば、『一枚…二枚…』と皿を数える幽霊で有名ですが、まさか姫路城とは。
あ、そっか、播州 = 播磨 という事だったんですね。
ではどういったお話なのか?
実はこの播州皿屋敷は、江戸時代に大流行した怪談で、いろんな話がアレンジされまくり、もとの話がよくわかりません。
有力なのは以下の説
戦国時代以前、約450年前の室町時代中期の頃にさかのぼります。
姫路城といえば、大河ドラマで有名な黒田官兵衛の黒田家が所有していた城と思われがちですが、黒田家が城主以前の別の城主時代のお話です。
永正年間(1504〜20)、姫路城第9代城主・小寺則職の時代。
(※小寺則職 = 大河ドラマ・軍師官兵衛的にいえば、片岡鶴太郎さんの父にあたる人物)
則職の家臣に姫路城を預かっていた青山鉄山(てつざん)という人物がいました。
彼は姫路城を乗っ取ろうと、城主を増位山の花見の宴で毒殺しようと計画していたのです。
それを察した城主の忠臣・衣笠元信(きぬがさもとのぶ)は、自分の愛人であるお菊を鉄山の屋敷に奉公させて、暗殺計画を探らせ、鉄山の息子である小五郎から父の陰謀を聞き出すことに成功しました。
この知らせを聞いて元信は、事前に花見の宴で城主を毒殺しようとする鉄山の野望を阻止することができたのです。
この事件以後もお菊は鉄山の屋敷で動向を探り続けていましたが、鉄山の同士である町坪弾四朗(ちょうのつぼだんしろう)に気付かれてしまいます。
しかし奉公に上がってからお菊に好意を持っていた弾四朗は『お前の正体を黙ってやる代わりに自分の愛人になれ』とお菊に言い寄りました。
でもお菊はその条件を聞き入れませんでした。
どうしても自分のいうとおりにならないお菊を憎らしく思うようになった弾四朗は、お菊に憎しみを抱き始めます。
お菊は家宝の10枚セットの皿を預かっていたのですが、弾四郎はこの皿の一枚を隠して、お菊が皿を失くしたとお菊を罪人扱いにします。
お菊は何が何だかわかりませんでしたが、皿を探し出す事も出来ず、ついには斬られ庭の井戸へ投げ込まれました。
それからしばらく経って…
毎晩、井戸の底から悲しげな女性の声で、
「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚・・・・・」
と、皿を数える声が聞こえるようになりました。
そのお菊が投げ込まれた井戸が実は姫路城二の丸に残るお菊井戸だということです。
その後、お菊の祟りにより、主家には様々な災いが起こり、ついには衰亡していったといわれています。
以上が播州皿屋敷のオハナシですが、前述したようにいろんなバ−ジョンがあり、もとの話はよくわかっていません。
しかし江戸時代に落語にもなっており、次の様なハナシが残っています。
町内の若者達が番町皿屋敷のお菊の井戸へ肝試しに出かけます。
出かける前に老人から『もしもお菊の皿を数える声を九枚まで聞いてしまったら、その者は必ず死んでしまうから六枚ぐらいを聞いたら逃げろ』と教えられます。
若者達は老人教えを守って、六枚くらいまで聞いたところで、お菊井戸から逃げ出してきたワケですが、お菊があまりにもいい女だったので、若者達は翌日も懲りずにお菊井戸へ向かいました。
そして次の日もまた次の日も…
数日もすると、お菊の美貌が人々に噂として伝わり、見物人はなんと百人にまで増えてしまいました。
しかしさすがにこれだけ人が増えると、六枚目を数えるあたりで全員が逃げるにも逃げられず、とうとう一部の若者が九枚まで数える声を聞いてしまいます。
『もしもお菊の皿を数える声を九枚まで聞いてしまったら、その者は必ず死んでしまう…』
でも九枚目の声を聞いた者たちは死なず、よく聞くとお菊が九枚以降も皿を数え続けていました。
最終的にお菊は十八枚まで数えると、『これでおしまい』と言って井戸の中に入ろうとするので、若者のひとりが、
『お菊の皿は九枚と決まっているだろう?何故十八枚も数えるんだ?』と訊くと、
お菊は『明日は休みたいと思います。なので二日分(9×2)数えました』と答えたとか。
またもっと古典的な話では、旅の僧がお菊の霊を慰めようとして『なんまいだー(何枚だ)』と念仏を唱えると、お菊が「どう数えても九枚しかありません」と返す、という駄洒落(だじゃれ)みたいなオチの話もあります。
ホントの話はどうなのか?
姫路城二の丸にひっそりと残るお菊井戸です。
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